障害者権利条約の批准を目的に改正された障害者基本法、このページではその改正点を紹介しています。また改正ポイントを紹介した書籍も当センターで販売を取り扱っております。
最初の一歩だ! 改正障害者基本法
定価:本体1,200円+税 送料215円(1冊注文の場合)
編 DPI日本会議
発行 解放出版社
ISBN978-4-7592-6119-6 C0036 ¥1200E B5版 108ページ
内容紹介:障害者権利条約のわが国の批准にむけて、2011年、障害者基本法が大きく改正された。 本書では、その改正のポイントと問題点、さらに改正された基本法を使って何を変えていくかということや積み残された課題に今後どう対処していくかということなどについて各方面からの検証を行い、わかりやすく解説した。
2011年8月5日に一部を除き公布・施行されました。ただし、「障害者政策委員会」と「審議会その他の合議制の機関」に係る規定の部分は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行します。
下線は今回改正された場所です。
太字ゴシックが2011 年6月15 日衆議院・内閣委員会で修正された部分です。
(目的)
第1条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めるこ
と等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(地域社会における共生等)
第3条 第1条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。
(差別の禁止)
第4条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
(国際的協調)
第5条 第1条に規定する社会の実現は、そのための施策が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に図られなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第6条 国及び地方公共団体は、第1条に規定する社会の実現を図るため、前3条に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのつとり、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。
(国民の理解)
第7条 国及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講じなければならない。
(国民の責務)
第8条 国民は、基本原則にのつとり、第1条に規定する社会の実現に寄与するよう努めなければならない。
(障害者週間)
第9条 国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。
(施策の基本方針)
第10条 障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。
(障害者基本計画等)
第11条 政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基
本計画」という。)を策定しなければならない。
(法制上の措置等)
第12条 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。
(年次報告)
第13条 政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。
(医療、介護等)
第14条 国及び地方公共団体は、障害者が生活機能を回復し、取得し、又は維持するために必要な医療の給付及びリハビリテーションの提供を行うよう必要な施策を講
じなければならない。
(年金等)
第15条 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。
(教育)
第16条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。
(療育)
第17条 国及び地方公共団体は、障害者である子どもが可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。
(職業相談等)
第18条 国及び地方公共団体は、障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、障害者がその能力に応じて適切な職業に従事することができるようにするため、障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性に配慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策を講じなければならな
い。
(雇用の促進等)
第19条 国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体並びに事業者における障害者の雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策を講じなければならない。
(住宅の確保)
第20条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安定した生活を営むことができるようにするため、障害者のための住宅を確保し、及び障害者の日常生活に
適するような住宅の整備を促進するよう必要な施策を講じなければならない。
(公共的施設のバリアフリー化)
第21条 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによつて障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならない。
(情報の利用におけるバリアフリー化等)
第22条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を取得し及び利用し、その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備、障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。
(相談等)
第23条 国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならない。
(経済的負担の軽減)
第24条 国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。
(文化的諸条件の整備等)
第25条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に文化芸術活動、スポーツ又はレクリエーションを行うことができるようにするため、施設、設備その他の諸条件の整備、文化芸術、スポーツ等に関する活動の助成その他必要な施策を講じなければならない。
(防災及び防犯)
第26条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。
(消費者としての障害者の保護)
第27条 国及び地方公共団体は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならない。
(選挙等における配慮)
第2628条 国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、
投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。
(司法手続における配慮等)
第2729条 国又は地方公共団体は、障害者が、刑事事件若しくは少年の保護事件に関する手続その他これに準ずる手続の対象となつた場合又は裁判所における民
事事件、家事事件若しくは行政事件の当事者その他の関係人となつた場合において、障害者がその権利を円滑に行使できるようにするため、個々の障害者の特性に応じた
意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修その他必要な施策を講じなければならない。
(国際協力)
第2830条 国は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を国際的協調の下に推進するため、外国政府、国際機関又は関係団体等との情報の交換その他必要な施策を講ずるように努めるものとする。
第2931条 国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病及びその予防に関する調査及び研究を促進しなければならない。
(障害者政策委員会の設置)
第3032条 内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。
- 障害者基本計画に関し、第11条第4項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
- 前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。
- 障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。
(政策委員会の組織及び運営)
第3133条 政策委員会は、委員30人以内で組織する。
第3234条 政策委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力
を求めることができる。
第3335条 前2条に定めるもののほか、政策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(都道府県等における合議制の機関)
第3436条 都道府県(地方自治法第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、次に掲げる事務を処理するため、
審議会その他の合議制の機関を置く。
- 都道府県障害者計画に関し、第11条第5項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
- 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。
- 当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。
- 市町村障害者計画に関し、第11条第6項(同条第9項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
- 当該市町村における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。
- 当該市町村における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。