「あ・か・さ・た・な」で大学院へ

天畠 大輔(てんばた だいすけ)
立命館大学大学院 先端総合学術研究科 先端総合学術研究専攻 1回生

 私は14歳のときに医療過誤による後遺症で、四肢麻痺、言語障害、視覚障害などの重度障害を負いました。健常なのは耳だけで、車いす生活で24時間の介助が必要です。発話ができないため、意思伝達は、介助者に手を引いてもらって言葉を拾う「あかさたな話法」で行っています。
 千葉市の養護学校中等部・高等部から東京にあるルーテル学院大学に進学し、この春、立命館大学大学院に入学しました。大学院を目指した理由は、盲ろう者でありながら東京大学で教鞭をとっておられる福島教授の影響が大きいです。大学時代に先生から、私の考えていることが「学問として成り立つ」というアドバイスを受けたことが最大の動機です。
 大学院では、生命倫理学や障害学を学びながら、「障がい者のコミュニケーション」について研究します。私は東京都在住で、通訳兼介助者も東京の方です。そのため、毎回授業に介助者を連れて参加することは物理的に難しい状態です。そこで学校側には、自宅でも受講できるよう、インターネット通信を用いたテレビ電話を利用するなどの配慮をしていただいています。
 また来年からは、学問と並行して、自らの経験を活かし、東京都武蔵野市で、障害をもった学生の「大学修学支援」や「学生生活サポート」の事業所を開設する予定です。大学に行くと人生の選択肢が広がります。これから進学を考えておられる方やご家族へのアドバイスは、絶対に「自分をあきらめない」こと。自分の殻にこもらず、「多くの方々と会う」ことです。必ず道は開けると思います。もし、大学進学でお悩みなら、いつでもご相談にのります。

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立命館大学大学院 先端総合学術研究科 先端総合学術研究専攻 1回生
四肢麻痺・言語障害・視覚障害天畠大輔さんの記事が『情報誌・障害をもつ人々の現在』61号にあります。
写真:天畠大輔さん 立命館大学の入学式で
68号 2010年7月1日発行 より