大学における障害学生受け入れの現状  ~2025調査より受験編②~

殿岡 栄子  木藤 宗  殿岡 翼

今回は昨年実施した「大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2025」(以下本調査)の結果から、受験時の配慮の詳細について分析します。なお、本調査の大学種別や地方ごとの回答状況、障害別在籍状況、および受験可否と受験時条件については、130号(2026年5月8日発行)を参考にしてください。

調査対象数は821校で、回答校数は354校、回答率は43パーセントです。前回と比べて大きな変化は見られません。

本調査は大学の総意としての回答を求めていて、途中まで回答を入力していても大学の総意(決済)が取れず、最終的な回答に至らなかった大学もあります。このような大学や学生募集停止となった大学は、回答数には含まれていません。

  • ※回答率とは、ある項目の回答数を回答数355(日本大学2学部を含む)で割った数(率・%)です。
  • ※前回比とは、前回と今回の回答率の差(ポイント)です。

受験時配慮有無

  • 本調査では、試験時間、試験室、出題・解答方法など、さまざまな受験上の合理的配慮・事前的改善措置について、障害種別ごとに選択肢を設け、大学に実施状況を尋ねています。これらの項目のうち、1項目でも具体的な配慮を実施できると回答した場合を「配慮あり」としています。一方、すべての項目について実施の見通しが立っていない場合を「配慮なし」としています。したがって、「配慮なし」は、大学が合理的配慮を行わないと決めていることを意味するものではありません。
  • すべての障害種別で、6割以上の大学が何らかの合理的配慮・事前的改善措置を行うと回答しています。「配慮あり」と回答した大学は、肢体障害が265校(75%)で最も多く、次いで聴覚障害262校(74%)、視覚障害251校(71%)となっています。発達障害は245校(69%)、内部障害は242校(68%)、精神障害は235校(66%)、知的障害は221校(62%)でした。
  • 前回比では、「配慮あり」が発達障害、精神障害、内部障害でそれぞれ5ポイント、知的障害で6ポイント増加しています。これらの障害では、受験時に何らかの合理的配慮・事前的改善措置を実施する大学が前回より増えています。
  • 一方、視覚障害と聴覚障害は前回比0ポイント、肢体障害は1ポイント増で、前回からほぼ変化がありませんでした。ただし、視覚障害は71%、聴覚障害は74%、肢体障害は75%と、いずれも7割以上の大学が「配慮あり」と回答しています。
  • 「配慮なし」は、知的障害が134校(38%)で最も多く、次いで精神障害120校(34%)、内部障害113校(32%)、発達障害110校(31%)となっています。これらの障害では、何らかの合理的配慮を実施する大学が前回より増えているものの、すべての項目について実施の見通しが立っていない大学が、現在も3割以上あります。
  • このことから、受験時の合理的配慮・事前的改善措置は全体として広がっている一方、障害種別によって実施の見通しには差があります。また、「配慮あり」と回答した大学でも、その内容については、試験時間、試験室、出題・解答方法など、どの項目でどこまで配慮を実施できるかが大きく異なります。具体的にどの項目でどこまで配慮が実施されているのか、この後さらに詳しくみていきます。

表1 受験時配慮有無

 以下、障害種別:配慮あり、配慮なしごとの回答数 率 前回比の順

表1 障害種別受験時配慮有無
障害種別 配慮有無
配慮あり 配慮なし
回答数 率 前回比 回答数 率 前回比
視覚 251校 71% 0ポイント 104校 29% 0ポイント
聴覚 262校 74% 0ポイント 93校 26% 0ポイント
肢体 265校 75% 1ポイント 90校 25% -1ポイント
発達 245校 69% 5ポイント 110校 31% -5ポイント
精神 235校 66% 5ポイント 120校 34% -5ポイント
内部 242校 68% 5ポイント 113校 32% -5ポイント
知的 221校 62% 6ポイント 134校 38% -6ポイント

受験時条件と配慮の関係(表2)

  • 受験時条件の有無と配慮の有無に着目すると、すべての障害種別で「配慮あり」の大学のうち「条件あり」の割合が最も高くなっています。つまり「合理的配慮はするが、何かしらの条件も付ける、という大学が最も多いということがいえます。
    特に聴覚障害が配慮あり281校のうち条件あり186校(66.2%)、視覚障害が配慮あり272校のうち条件あり179校(65.8%)でこの傾向が強いです。
    一方、知的障害が配慮あり214校のうち条件あり118校(55.1%)となっており、他の障害種別に比べて「条件あり」の割合がやや低めです。
  • また、配慮を行うと決めていても、受験時の条件が未定な大学が各障害で約3割存在します。
  • さらにどの障害でも、配慮なしの大学では、条件未定の割合が非常に高く、6〜7割を占めています。
  • 受験する際には受験可否だけに着目するのではなく、受験時の条件を確認することが重要です。
    また、受験時に実力を発揮するためにも、入学後、学生生活を問題なく送れるようにするためにも大学側と事前相談を行うことが大切です。

どこがちがう? 事前協議と事前相談

  • ・事前協議は、大学が障害学生の状況を見て、入試や入学後にどこまで配慮できるかを検討したうえで、受験可否を判断します。
  • ・事前相談は、大学が受験を認めたうえで障害学生の様子を知るとともに、どのような配慮ができるかを検討するために行われます。

事前協議は障害学生の受験を認めるかどうかが決まっていない状況で行われますが、事前相談は受験を認めた上で実施されます。同じ話し合いの場ではありますが、受験が認められているのと、認められるかどうか分からないのでは、大きな違いです。

表2 受験時の配慮有無と条件

 以下、配慮あり 配慮なし 合計について
 条件あり 条件なし 条件未定 合計の順。

表2-1 視覚障害
条件あり 条件なし 未定 合計
配慮あり 45校 83校 123校 251校
配慮なし 5校 16校 83校 104校
合計 50校 99校 206校 355校
表2-2 聴覚障害
条件あり 条件なし 未定 合計
配慮あり 38校 101校 123校 262校
配慮なし 6校 12校 75校 93校
合計 44校 113校 198校 355校
表2-3 肢体障害
条件あり 条件なし 未定 合計
配慮あり 47校 89校 129校 265校
配慮なし 5校 13校 20校 38校
合計 52校 102校 149校 303校
表2-4 発達障害
条件あり 条件なし 未定 合計
配慮あり 30校 95校 120校 245校
配慮なし 5校 20校 85校 110校
合計 35校 115校 205校 355校
表2-5 精神障害
条件あり 条件なし 未定 合計
配慮あり 29校 91校 115校 235校
配慮なし 3校 21校 96校 120校
合計 32校 112校 211校 355校
表2-6 内部障害
条件あり 条件なし 未定 合計
配慮あり 25校 91校 126校 242校
配慮なし 3校 14校 96校 113校
合計 28校 105校 222校 355校
表2-7 知的障害
条件あり 条件なし 未定 合計
配慮あり 24校 75校 122校 221校
配慮なし 3校 23校 108校 134校
合計 27校 98校 230校 355校

受験時の配慮手続き(各障害種別共通)

  • 合理的配慮の手続きについては、いずれの障害種別でも「事前相談」が最も多く、次いで「診断書の提出」が多くなっています。これらの回答状況から、大学は合理的配慮の手続きにおいて、まず受験生本人との事前相談を重視し、そのうえで診断書などにより配慮の必要性を確認する傾向があるといえます。
  • 障害者手帳コピーの提出は、診断書の提出よりも低い割合にとどまっており、手帳の有無だけでなく、受験時にどのような配慮が必要かを個別に確認する手続きが重視されていることがうかがえます。
  • 障害種別で見ると、肢体障害は多くの項目で最も回答数が多く、事前相談240校(68%)、障害者手帳コピーの提出130校(37%)、診断書の提出183校(52%)、大学入学共通テストにおける配慮申請書の提出90校(25%)のいずれも高い水準となっています。聴覚障害と視覚障害も、同様の項目で高い水準を示しています。こうした傾向から、これらの障害種別では、事前相談を行ったうえで、診断書や障害者手帳コピーなどの資料により配慮の必要性を確認する、という流れが比較的はっきり決まっているといえます。
  • 発達障害、精神障害、内部障害では、いずれも障害者手帳コピーの提出よりも診断書の提出が明確に多くなっています。発達障害では、診断書の提出が171校(48%)であるのに対し、障害者手帳コピーの提出は112校(32%)でした。精神障害では、診断書の提出が173校(49%)、障害者手帳コピーの提出が113校(32%)でした。内部障害では、診断書の提出が170校(48%)、障害者手帳コピーの提出が118校(33%)でした。以上から、これらの障害では、障害者手帳の有無よりも、障害の状態や配慮の必要性を診断書によって確認する傾向が見られます。
  • 知的障害は、事前相談195校(55%)、診断書の提出157校(44%)、障害者手帳コピーの提出101校(28%)、大学入学共通テストにおける配慮申請書の提出79校(22%)であり、主要な項目では他の障害種別に比べて少ない傾向が見られます。

表3 受験時配慮手続き

 以下、障害種別ごとに
 受験時配慮手続選択肢:回答数 回答率 の順

表3-1 視覚障害
項目 回答数 回答率
事前相談231校65%
障害者手帳コピーの提出124校35%
診断書の提出178校50%
大学共通テストにおける配慮申請書を提出84校24%
その他29校8%
表3-2 聴覚障害
項目回答数回答率
事前相談237校67%
障害者手帳コピーの提出128校36%
診断書の提出182校51%
大学共通テストにおける配慮申請書を提出89校25%
その他32校9%
表3-3 肢体障害
項目回答数回答率
事前相談240校68%
障害者手帳コピーの提出130校37%
診断書の提出183校52%
大学共通テストにおける配慮申請書を提出90校25%
その他32校9%
表3-4 発達障害
項目回答数回答率
事前相談218校61%
障害者手帳コピーの提出112校32%
診断書の提出171校48%
大学共通テストにおける配慮申請書を提出86校24%
その他31校9%
表3-5 精神障害
項目回答数回答率
事前相談211校59%
障害者手帳コピーの提出113校32%
診断書の提出173校49%
大学共通テストにおける配慮申請書を提出87校25%
その他28校8%
表3-6 内部障害
項目回答数回答率
事前相談214校60%
障害者手帳コピーの提出118校33%
診断書の提出170校48%
大学共通テストにおける配慮申請書を提出87校25%
その他31校9%
表3-7 知的障害
項目回答数回答率
事前相談195校55%
障害者手帳コピーの提出101校28%
診断書の提出157校44%
大学共通テストにおける配慮申請書を提出79校22%
その他29校8%

受験時の合理的配慮(各障害種別共通)

  • ここからは受験時の合理的配慮の詳細についてみていきます。大学には受験生から希望があったときに対応可能な方法を、複数選択で回答いただいています。
  • 試験時間の配慮では「1.3倍」「1.5倍」の延長はどの障害種別でもある程度の大学が実施しています。
    ただし前回比でみると「1.5倍」は聴覚障害・精神障害・知的障害でそれぞれ2ポイント減っており、全体として減少傾向にあります。重複障害の学生など、十分な解答時間が確保できないことが懸念されます。
  • 「一般学生と同じ」という選択肢は、受験生が特に延長の合理的配慮を必要とせず、一般学生と同じ時間で試験を受けることができるということにつながります。これについては肢体障害・知的障害の4ポイント増をはじめ、すべての障害種別で増加しています。
  • これとは大きく異なるのが、大学が「一般学生と同じ(時間延長なし)」の選択肢のみを選ぶことで、実質的に延長の合理的配慮を行わないというものです。すべての障害種別で増加しており、特に知的障害で110校 +5ポイント、精神障害で132校 +4ポイントと激増しており、この傾向は、注意が必要です。

表4 試験時間

 以下、障害種別ごとに
 時間延長選択肢:回答数 前回比(ポイント)の順

表4-1 視覚障害
項目 回答数 前回比
1.3倍139校0ポイント
1.5倍99校0ポイント
1.5倍以上25校0ポイント
一般学生と同じ181校+3ポイント
その他11校0ポイント
一般学生と同じ
(時間延長なし)
98校+1ポイント
表4-2 聴覚障害
項目 回答数 前回比
1.3倍83校+2ポイント
1.5倍57校+1ポイント
1.5倍以上22校+1ポイント
一般学生と同じ225校+1ポイント
その他8校+1ポイント
一般学生と同じ
(時間延長なし)
168校-2ポイント
表4-3 肢体障害
項目 回答数 前回比
1.3倍134校+1ポイント
1.5倍89校+1ポイント
1.5倍以上27校+1ポイント
一般学生と同じ198校+2ポイント
その他7校0ポイント
一般学生と同じ
(時間延長なし)
120校0ポイント
表4-4 発達障害
項目 回答数 前回比
1.3倍122校+2ポイント
1.5倍63校+1ポイント
1.5倍以上20校+2ポイント
一般学生と同じ198校+5ポイント
その他5校0ポイント
一般学生と同じ
(時間延長なし)
117校+3ポイント
表4-5 精神障害
項目 回答数 前回比
1.3倍99校+3ポイント
1.5倍56校+1ポイント
1.5倍以上21校+1ポイント
一般学生と同じ197校+5ポイント
その他3校0ポイント
一般学生と同じ
(時間延長なし)
131校+2ポイント
表4-6 内部障害
項目 回答数 前回比
1.3倍95校+2ポイント
1.5倍58校+1ポイント
1.5倍以上23校+1ポイント
一般学生と同じ208校+5ポイント
その他4校0ポイント
一般学生と同じ
(時間延長なし)
139校+3ポイント
表4-7 知的障害
項目 回答数 前回比
1.3倍95校+2ポイント
1.5倍57校0ポイント
1.5倍以上20校+1ポイント
一般学生と同じ183校+6ポイント
その他4校0ポイント
一般学生と同じ
(時間延長なし)
119校+5ポイント

表5 試験室

  • 試験室の合理的配慮では、多くの大学でどの障害種別でも「別室」での受験を実施しています。肢体障害・知的障害で3ポイント増えるなど、引き続き増加傾向にあります。
  • その他の合理的配慮については前回比はほとんど変化がありませんでした。
  • 「一般学生と同じ」という選択肢は、受験生が特に別室等の合理的配慮を必要としない場合に同室で受けられるということです。すべての障害で増えています。
  • これとは大きく異なるのが「一般学生と同室 (同室のみ)」の選択肢のみを選ぶことで、大学が別室など試験室の合理的配慮を実質的に実施しないというものです。試験時間に比較して数は少ないですが聴覚障害を筆頭にすべての障害で存在しています。

 以下、障害種別:回答数 前回比(ポイント)の順

表5-1 別室
障害種別回答数前回比
視覚221校-1ポイント
聴覚199校2ポイント
肢体224校-1ポイント
発達208校3ポイント
精神209校3ポイント
内部205校2ポイント
知的187校5ポイント
表5-2 保健室
障害種別回答数前回比
視覚19校1ポイント
聴覚18校1ポイント
肢体20校0ポイント
発達18校0ポイント
精神17校0ポイント
内部24校1ポイント
知的21校1ポイント
表5-3 明るすぎない試験室
(視覚・発達)
障害種別回答数前回比
視覚68校1ポイント
発達61校2ポイント
表5-4 ループアンテナの部屋(聴覚)
障害種別回答数前回比
聴覚4校0ポイント
表5-5 1階の部屋(肢体)
障害種別回答数前回比
肢体214校1ポイント
表5-6 洋式トイレに近い部屋
障害種別回答数前回比
肢体211校2ポイント
発達154校5ポイント
精神162校5ポイント
内部178校3ポイント
知的152校6ポイント
表5-7 一般学生と同室
障害種別回答数前回比
視覚149校4ポイント
聴覚188校3ポイント
肢体157校2ポイント
発達165校6ポイント
精神156校4ポイント
内部160校5ポイント
知的140校4ポイント
表5-8 その他
障害種別回答数前回比
視覚8校1ポイント
聴覚3校0ポイント
肢体4校0ポイント
発達5校0ポイント
精神1校-1ポイント
内部7校0ポイント
知的1校0ポイント
表5-9 一般学生と同室
(同室のみ)
障害種別回答数前回比
視覚23校-1ポイント
聴覚63校-1ポイント
肢体14校0ポイント
発達20校-1ポイント
精神15校1ポイント
内部18校1ポイント
知的22校0ポイント

視覚障害学生への合理的配慮(表6) 

  • ここからは各障害別に、合理的配慮の詳細について分析します。今回取り上げる受験時の合理的配慮の項目はごく一部です。調査では非常に多くの合理的配慮に関して大学に調査し、書籍『大学案内2026障害者版』にまとめていますので、受験生の皆さんはぜひ参考にしてください。
  • 視覚障害では、出題方法および解答方法の合理的配慮を取り上げます。
  • 「拡大文字」が出題方法で194校、解答方法で183校と最も多くなっており、視覚障害の合理的配慮の主流として定着していることがうかがえます。
  • (マークシートの代わりに)「文字による解答」と「点字(出題・解答方法)」が次いで実施されていますが、どちらも「拡大文字」の3文の1の大学数にとどまっています。
  • 「対面朗読」による出題、「代筆」や「口述」による解答、「パソコン」による出題・解答は数も少なく、前回比も変化がありません。機器の活用や人的支援により、障害学生が自分に合った受験方法を選択できるよう、これらの配慮の広がりが期待されます。
  • 「一般学生と同じ(他の配慮なし)」とする大学が出題方法で71校、解答方法で72校となっており、前回比も2ポイント伸びています。視覚障害の特性上、出題・解答方法で何も配慮されないことが、その大学を受験できないことに直結するという点で致命的であり、是非とも改善が望まれます。

表6 視覚障害学生への配慮

 以下、配慮方法:回答数 前回比(ポイント)の順

表6-1 出題方法
  回答数 前回比
点字 55校 0ポイント
拡大文字 182校 0ポイント
音訳 12校 1ポイント
対面朗読 26校 0ポイント
パソコン 30校 0ポイント
一般学生と同じ 159校 1ポイント
その他 6校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
64校 -1ポイント
表6-2 回答方法
  回答数 前回比
点字 55校 0ポイント
拡大文字 169校 0ポイント
文字による回答 63校 1ポイント
パソコン 34校 0ポイント
口述 31校 1ポイント
代筆 31校 1ポイント
一般学生と同じ 158校 1ポイント
その他 11校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
66校 0ポイント

聴覚障害学生への配慮(表7) 

  • 聴覚障害では、面接試験での合理的配慮、および大学入学共通テストのリスニングテストの評価方法を取り上げます。
  • 面接試験での合理的配慮では、「筆談による面接」が117校で最も多く、面接試験での合理的配慮の主流として定着していることがうかがえます。ただ、前回比はわずかながら減少しています。
  • 「手話通訳者」や「パソコン通訳者」の同席を実施する大学が一定数あるのは評価できますがどちらも「筆談」の半数以下の実施に留まっているのが残念です。
  • 「一般学生と同じ(他の配慮なし)」とする大学が127校に上り、前回比も2ポイント増えています。情報保障は本来、大学側が責任を持って整えるべきものであり、学生に準備を求めるのは合理的配慮の趣旨に反します。面接試験では、円滑なコミュニケーションが成立することが基本であり、そのための支援は大学が主体的に提供すべきです。
  • 大学入学共通テストのリスニングテスト評価方法では「点数配慮」を実施する大学が51校である一方「点数減点」とする大学が15校存在しています。
  • 受験しようとする大学で面接試験やリスニング試験がある場合は、実力を正確に評価してもらうために、事前に希望する合理的配慮内容をしっかり伝えていくことが大切です。

表7 聴覚障害学生への配慮

 以下、配慮方法:回答数前回比(ポイント)の順

表7-1 面接試験
  回答数 前回比
手話通訳者の同席 39校 -1ポイント
手書き要約筆記者の同席 22校 -1ポイント
パソコン通訳者の同席 21校 0ポイント
筆談で面接 113校 1ポイント
一般学生と同じ 189校 1ポイント
その他 41校 2ポイント
面接試験なし 5校 -1ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
116校 -1ポイント

 以下、評価方法:回答数 前回比(ポイント)の順

表7-2 大学入学共通テストのリスニングテストの評価方法
  回答数 前回比
点数配慮 53校 2ポイント
点数減点 11校 -1ポイント
一般学生と同じ 60校 2ポイント
その他 29校 1ポイント

肢体障害学生への配慮(表8)

  • 肢体障害では出題方法および解答方法の合理的配慮を取り上げます。
  • 「拡大文字」が出題方法で143校、解答方法で152校と最も多くなっており、肢体障害の合理的配慮の主流として定着していることがうかがえます。
  • 解答方法では「チェックによる解答」「パソコン」「代筆」が次いで実施されていますが「拡大」の2分の1または3文の1の大学数に留まっており、前回比もほとんど変化がないのが実情です。
  • 学生が自分の持つ力を十分に発揮するためには、パソコンや意思伝達装置などの機器の使用、代筆や口述といった補助者の同席など、自分に合った出題・解答方法を選択できるよう、多様な合理的配慮がより多くの大学で可能になることが望まれます。
  • 「一般学生と同じ(他の配慮なし)」とする大学は、出題方法で134校、解答方法で103校にのぼります。他の障害の場合にも言えることですが、この項目の回答数が多いことは、特に合理的配慮を必要としない学生のみを受け入れる姿勢の表れと考えられます。今後、こうした大学がまずは1人でも支援を必要とする学生を受け入れ、実績を積み重ねていくことで、障害学生支援の広がりが期待されます。

表8 肢体障害学生への配慮

 以下、配慮方法:回答数 前回比(ポイント)の順

表8-1 出題方法
  回答数 前回比
パソコン 34校 1ポイント
拡大文字 133校 0ポイント
一般学生と同じ 217校 2ポイント
その他 4校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
128校 1ポイント
表8-2 回答方法
  回答数 前回比
チェックによる回答 72校 1ポイント
パソコン 50校 0ポイント
拡大文字 140校 0ポイント
口述 23校 1ポイント
代筆 44校 1ポイント
一般学生と同じ 212校 3ポイント
その他 7校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
102校 2ポイント

発達障害学生への配慮(表9)

  • 発達障害では出題方法・解答方法、および面接試験での合理的配慮を取り上げます。
  • 視覚障害や肢体障害と同様に、出題方法・解答方法では「拡大文字」が最も多く実施されています。
  • それ以外の合理的配慮では、チェックによる解答」が「拡大文字」の半数であり、「代筆」「パソコン」「口述」は実施数が少なく、前回比も伸びていないのが実情です。受験者の数は他の障害に比べて非常に多い発達障害ですが、受験時の出題方法や解答方法での合理的配慮の必要性そのものが学生にも大学にも、まだ十分認知されていないのが実情です。
  • 面接の合理的配慮では「質問の内容を理解しやすいように工夫」、「質問の内容を文字で確認」「個別の面接を実施」が一定数の大学で実施されています。これらの対応は、大学側が準備しやすいことが、実施の広がりにつながっているといえます。
  • 一方「パソコン通訳者」「付き添い者」の同席と「小論文などで代用」は実施がまだ少ない現状です。
  • さらに「一般学生と同じ(他の配慮なし)」が133校と依然として多くなっています。
  • 人とのコミュニケーションが苦手だったり、急な変化への対応が難しい学生にとって、面接試験での合理的配慮は、本人の力を十分発揮するために必要で、この認識の広まりが急務です。

表9 発達障害学生への配慮

 以下、配慮方法:回答数 前回比(ポイント)の順

表9-1 出題方法
  回答数 前回比
パソコン 27校 1ポイント
拡大文字 130校 2ポイント
一般学生と同じ 206校 6ポイント
その他 3校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
112校 3ポイント
表9-2 回答方法
  回答数 前回比
文字による回答 43校 2ポイント
チェックによる回答 64校 1ポイント
パソコン 39校 1ポイント
拡大文字 114校 1ポイント
口述 14校 1ポイント
代筆 16校 0ポイント
一般学生と同じ 205校 6ポイント
その他 6校 1ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
109校 3ポイント
表9-3 面接試験
  回答数 前回比
質問の内容を文字で確認 57校 0ポイント
質問の内容を理解しやすいように工夫 64校 2ポイント
個別の面接 50校 2ポイント
パソコン通訳者の同席 10校 0ポイント
付き添い者の同席 8校 0ポイント
小論文などで代用 6校 1ポイント
一般学生と同じ 202校 4ポイント
その他 12校 1ポイント
面接試験なし 5校 0ポイント
一般学生と同じ(他の配慮なし) 130校 2ポイント

精神障害学生への配慮(表10)

  • 精神障害では、「利用可能な事項」および面接試験での合理的配慮を取り上げます。
  • 「利用可能な事項」では「注意事項の文章での確認」が164校と最も多く実施されており、「耳栓」「注意事項を個別に説明」「パーテーション」が次いで実施されています。
  • 面接試験での合理的配慮では「質問の内容を文字で確認」、「質問の内容を理解しやすいように工夫」「個別の面接を実施」「筆談で面接」が一定数の大学で実施されています。
  • ただしこれらの合理的配慮はどれも前回比に変化がありませんでした。また、一般学生と同じ(他の配慮なし)が118校に上ります。発達障害と同様、精神障害の学生に対する支援の広がりが急務です。

表10 精神障害学生への配慮

 以下、配慮方法:回答数 前回比(ポイント)の順

表10-1 利用可能な事項
  回答数 前回比
注意事項の文書での確認 161校 2ポイント
注意事項を個別に説明 79校 1ポイント
パーテーション 40校 0ポイント
耳栓 106校 4ポイント
その他 11校 2ポイント
特になし 52校 2ポイント
表10-2 面接試験
  回答数 前回比
質問の内容を文字で確認 57校 0ポイント
質問の内容を理解しやすいように工夫 63校 2ポイント
周囲と視線を合わせないよう座席を配慮 30校 0ポイント
個別の面接 57校 2ポイント
筆談で面接 41校 1ポイント
付き添い者の同席 8校 0ポイント
小論文などで代用 5校 1ポイント
一般学生と同じ 191校 5ポイント
その他 13校 1ポイント
面接試験なし 5校 0ポイント
一般学生と同じ(他の配慮なし) 112校 1ポイント

 内部障害学生への配慮(表11)

  • 内部障害では、出題方法と解答方法の合理的配慮を取り上げます。
  • 出題方法・解答方法で「拡大文字」が最も多く実施されています。
  • 解答方法では「チェックによる解答」が「拡大文字」の訳半数の実施で、で「パソコン」や「代筆」等はさらに実施が少ない状況です。
  • 出題方法・解答方法の合理的配慮がどれも前回比に変化がありません。
  • さらに「一般学生と同じ(他の配慮なし)」が出題方法で136校、解答方法で127校で「拡大文字」よりも多くなっています。
  • こうしたことから、内部障害の出題方法や解答方法に関する合理的配慮の必要性そのものの認知が十分でないことがうかがえます。
  • 日によって体調の変化が大きかったり、長時間の座位での姿勢の維持や書字に疲労を感じるような内部障害の学生に対して、配慮が必要であるという認知が広がっていくことが求められます。

表11 内部障害学生への配慮

 以下、配慮方法:回答数 前回比(ポイント)の順

表11-1 出題方法
  回答数 前回比
パソコン 21校 1ポイント
拡大文字 98校 1ポイント
一般学生と同じ 217校 6ポイント
その他 2校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
140校 4ポイント
表11-2 回答方法
  回答数 前回比
チェックによる回答 49校 0ポイント
パソコン 29校 1ポイント
拡大文字 102校 2ポイント
口述 13校 1ポイント
代筆 19校 1ポイント
一般学生と同じ 213校 5ポイント
その他 2校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
127校 3ポイント

知的障害学生への配慮(表12)

  • 知的障害では、出題方法と解答方法の合理的配慮を取り上げます。
  • 出題方法・解答方法のどちらも「拡大文字」が最も多く実施されており、これは他の障害と共通しています。
  • 他の解答方法では「文字による解答」が「拡大文字」の半数で「チェックによる回答」が3分の1に留まっています。
  • 「パソコン」や「代筆」「口述」はさらに少ないです。
  • 「一般学生と同じ(他の配慮無し)」が出題方法で101校、解答方法で103校に上ります。
  • 知的障害学生の受験者は年を追うごとに増加しており、受験時の配慮の広がりが望まれます。

表12 知的障害学生への配慮

 以下、配慮方法:回答数 前回比(ポイント)の順

表12-1 出題方法
  回答数 前回比
パソコン 28校 1ポイント
拡大文字 106校 2ポイント
一般学生と同じ 186校 6ポイント
その他 3校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
110校 4ポイント
表12-2 回答方法
  回答数 前回比
文字による回答 32校 1ポイント
チェックによる回答 50校 0ポイント
パソコン 33校 1ポイント
拡大文字 101校 2ポイント
口述 12校 0ポイント
代筆 15校 0ポイント
一般学生と同じ 183校 5ポイント
その他 3校 0ポイント
一般学生と同じ
(他の配慮なし)
107校 4ポイント