大学における障害学生受け入れの現状 ~2025調査より受験編①~

殿岡 翼  殿岡 栄子  木藤 宗

(一社)全国障害学生支援センターでは2025年7月から12月まで「大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2025」を実施しました。以下、本調査または2025調査と略します。
今回は本調査結果より、障害学生の在籍状況、受験可否・受験時条件の状況を中心に掲載します。

直近3回の調査実施状況
略称 正式名称 開始日 終了日 掲載書籍
2026調査
次回調査
大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2026 2026年7月予定 2026年10月予定 2027年1月に発行予定
2025調査
本調査
大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2025 2025年7月 2025年12月 大学案内2027障害者版
2024調査
本調査
大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2024 2024年7月 2024年12月 大学案内2026障害者版

1. 調査回答状況について

  • 調査対象数は821校で、回答校数は354校、回答率は43パーセントです。前回と比べて大きな変化は見られません。
  • ※回答率とは、ある項目の回答数を回答数355(日本大学2学部を含む)で割った数(率・%)です。
  • ※前回比とは、前回と今回の回答率の差(ポイント)です。
  • 本調査は大学の総意としての回答を求めており、途中まで回答を入力していても大学の総意(決裁)が取れず、最終的な回答に至らなかった大学もあります。このような大学や学生募集停止となった大学は、回答数には含まれておりません。

大学種別ごとの回答状況

  • 大学種別ごとに見ると、公立大学の回答率は60パーセント(前回比0ポイント)と、他の種別と比べて最も高い水準を維持しています。一方、国立大学は46パーセント(前回比-2ポイント)、私立大学は40パーセント(前回比-4ポイント)と、いずれも前回調査から低下しており、特に私立大学では減少幅が大きくなっています。大学校は10パーセント(前回比0ポイント)で、前回とほぼ同じ状況が続いています。
  • 全体で見ると、回答率は43パーセント(前回比-3ポイント)と下がっており、調査対象数の多い私立大学における回答率の低下が、全体の回答率減少に大きく影響していると考えられます。

 以下、大学種別:調査対象数 回答校数 回答率% 前回比の順

大学種別回答状況
種別 調査対象数 回答校数 回答率% 前回比
大学① 811校 353校 44% -2ポイント
国立 85校 39校 46% -2ポイント
公立 101校 61校 60% 0ポイント
私立 625校 253校 40% -4ポイント
大学校② 10校 1校 10% 0ポイント
合計(①+②) 821校 354校 43% -3ポイント

参考:前回調査(2024調査)  調査対象数(821) 回答校数(381) 回答率(46%)

地方別の回答状況

  • 地方別に見ると、関東は回答率36%と、他の地域と比べて低い水準となっています。一方、東北は55%、中部は48%、四国と九州・沖縄はいずれも47%となっており、地域によって回答率に差が見られます。
  • 前回と比べると、北海道は8ポイント、九州・沖縄は6ポイントと大きく減っており、近畿は4ポイント、関東は3ポイント、東北と中国はそれぞれ2ポイント減っています。一方で、中部と四国は前回からの変化がなく、ほぼ横ばいとなっています。
  • このように、今回の調査では多くの地域で回答率がやや低下しているものの、その度合いには地域差が見られます。特に、大学数の多い関東で回答率が低めにとどまっている点は、全体の回答状況を考える上での特徴の一つといえます。
  • 今後は、1校でも多くの大学にご回答いただけるよう、引き続き取り組んでいきたいと思います。

 以下、地方別:調査数 回答数 回答率% 前回比の順

地方別回答状況
地方 調査数 回答数 回答率% 前回比
北海道 38校 16校 42% -8ポイント
東北 53校 29校 55% -2ポイント
関東 277校 99校 36% -3ポイント
中部 143校 69校 48% 0ポイント
近畿 156校 69校 44% -4ポイント
中国 54校 25校 46% -2ポイント
四国 19校 9校 47% 0ポイント
九州沖縄 81校 38校 47% -6ポイント

2.受験・在籍状況について

障害別受験状況

  • 受験者がいる大学は237校で、その割合は67パーセントです。前回と比べて大きな変化は見られません。受験者総数は4,854人で、受験者がいる1校当たりの平均人数は20.5人です。校数が多い障害種別では、精神障害、発達障害、聴覚障害が上位を占めています。前回と比べると、精神障害と発達障害はいずれも増加しています。

 以下、障害種別:回答数 率 前回比 人数 増減 平均の順

障害種別受験状況
障害種別 回答数 前回比 人数 増減 平均
全盲 8校 2% -1ポイント 19人 2.4人
弱視 57校 16% -1ポイント 118人 2.1人
視覚障害 60校 17% -1ポイント 137人 2.3人
全ろう 5校 1% 0ポイント 5人 1.0人
難聴 126校 35% -3ポイント 628人 5.0人
聴覚障害 127校 36% -3ポイント 633人 5.0人
盲ろう 0校 0% 0ポイント 0人 - 0人
電動車いす使用 34校 10% -1ポイント 80人 2.4人
手動車いす使用 34校 10% 3ポイント 64人 1.9人
上下肢 17校 5% 0ポイント 19人 1.1人
下肢 33校 9% 1ポイント 71人 2.2人
上肢 19校 5% 0ポイント 36人 1.9人
肢体障害 97校 27% 0ポイント 270人 2.8人
SLD 26校 7% -1ポイント 46人 1.8人
ADHD 71校 20% 1ポイント 248人 3.5人
ASD 90校 25% 2ポイント 246人 2.7人
発達障害の重複 73校 21% 3ポイント 202人 2.8人
その他の発達障害 52校 15% 3ポイント 76人 1.5人
発達障害 148校 42% 3ポイント 818人 5.5人
気分障害 62校 17% 6ポイント 126人 2.0人
不安障害 105校 30% 5ポイント 442人 4.2人
強迫性障害 24校 7% 1ポイント 41人 1.7人
解離性障害 6校 2% 0ポイント 8人 1.3人
適応障害 30校 8% 1ポイント 48人 1.6人
統合失調症 23校 6% 2ポイント 28人 1.2人
身体表現性障害 16校 5% 0ポイント 31人 1.9人
緘黙症 13校 4% 0ポイント 13人 1.0人
てんかん 36校 10% 1ポイント 70人 1.9人
高次脳機能障害 3校 1% -1ポイント 4人 1.3人
精神障害の重複 41校 12% 4ポイント 105人 2.6人
その他の精神障害 61校 17% 3ポイント 214人 3.5人
精神障害 155校 44% 4ポイント 1130人 7.3人
内部障害 110校 31% -1ポイント 703人 6.4人
ダウン症候群 0校 0% 0ポイント 0人 0人
境界知能 2校 1% 0ポイント 3人 - 1.5人
その他の知的障害 4校 1% -2ポイント 6人 1.5人
知的障害 6校 2% -2ポイント 9人 1.5人
重複障害 77校 22% 2ポイント 384人 5.0人
その他 91校 26% 5ポイント 599人 6.6人
種別不明 16校 5% 1ポイント 171人 10.7人
合計 237校 67% 1ポイント 4854人 20.5人

障害別在籍状況

  • 在籍状況を見ると、障害学生の在籍がある大学は314校で、率は82パーセントです。前回と比べて増加しています。在籍者総数は16,881人で、1大学当たりの平均は53.8人です。在籍者数は精神障害、発達障害、内部障害の順に多く、精神障害では在籍者数6,103人と規模が大きくなっています。前回と比べると、精神障害、発達障害、知的障害、重複障害で増加が見られる一方、内部障害では大きな変化は見られません。
  • 障害大分類について前回比を見ると、重複障害(+6ポイント)、発達障害(+3ポイント)に加え、内部障害(+2ポイント)や聴覚障害(+2ポイント)で、在籍のある大学の割合が増えています。
  • 一方、精神障害、視覚障害、知的障害、肢体障害では、在籍状況はほぼ変わっていません。
  • 小分類で前回比を見ると、発達障害の重複(+8ポイント)が最も大きく、次いで精神障害の重複(+6ポイント)、その他の精神障害(+6ポイント)、統合失調症(+4ポイント)の順となっています。これに続いて、ASD(+3ポイント)、SLD(+3ポイント)、身体表現性障害(+3ポイント)、さらにADHD(+2ポイント)、不安障害(+2ポイント)、下肢(+2ポイント)でも、在籍のある大学の割合が増えています。
  • 特に、発達障害および精神障害については、複数の小分類がこの増加傾向に含まれている点が特徴的です。
  • 一方、電動車いす使用(−3ポイント)、てんかん(−3ポイント)、次いで緘黙症(−2ポイント)で在籍のある大学が減っています。また、全盲・全ろう、視覚障害、上肢、境界知能などでは在籍状況に変化は見られず、特に全盲・全ろうでは在籍の広がりが見られない点が特徴的です。

 以下、障害種別:回答数 率 前回比 人数 増減 平均の順

障害種別在籍状況
障害種別 回答数 前回比 人数 増減 平均
全盲 22校 6% 0ポイント 52人 2.4人
弱視 117校 33% -1ポイント 289人 2.5人
視覚障害 124校 35% 0ポイント 341人 2.8人
全ろう 19校 5% 0ポイント 54人 2.8人
難聴 183校 52% 2ポイント 863人 4.7人
聴覚障害 184校 52% 2ポイント 917人 5.0人
盲ろう 2校 1% 0ポイント 3人 - 1.5人
電動車いす使用 63校 18% -3ポイント 112人 1.8人
手動車いす使用 57校 16% 1ポイント 76人 1.3人
上下肢 60校 17% 1ポイント 92人 1.5人
下肢 96校 27% 2ポイント 153人 1.6人
上肢 48校 14% 0ポイント 64人 1.3人
肢体障害 175校 49% -1ポイント 497人 2.8人
SLD 80校 23% 3ポイント 131人 1.6人
ADHD 209校 59% 2ポイント 1328人 6.4人
ASD 213校 60% 3ポイント 1303人 6.1人
発達障害の重複 168校 47% 8ポイント 917人 5.5人
その他の発達障害 95校 27% 2ポイント 239人 2.5人
発達障害 257校 73% 3ポイント 3918人 15.2人
気分障害 206校 58% 1ポイント 2012人 9.8人
不安障害 208校 59% 2ポイント 1390人 6.7人
強迫性障害 95校 27% -2ポイント 193人 2.0人
解離性障害 33校 9% -1ポイント 44人 1.3人
適応障害 133校 37% -1ポイント 575人 4.3人
統合失調症 113校 32% 4ポイント 222人 2.0人
身体表現性障害 62校 17% 3ポイント 103人 1.7人
緘黙症 31校 9% -2ポイント 36人 1.2人
てんかん 126校 35% -3ポイント 556人 4.4人
高次脳機能障害 26校 7% -1ポイント 31人 1.2人
精神障害の重複 135校 38% 6ポイント 669人 5.0人
その他の精神障害 165校 46% 6ポイント 952人 5.8人
精神障害 260校 73% 0ポイント 6783人 26.1人
内部障害 209校 59% 2ポイント 2389人 11.4人
ダウン症候群 1校 0% 0ポイント 1人 1.0人
境界知能 14校 4% 0ポイント 25人 1.8人
その他の知的障害 30校 8% -1ポイント 63人 2.1人
知的障害 41校 12% 0ポイント 89人 2.2人
重複障害 172校 48% 6ポイント 1830人 10.6人
その他 139校 39% 3ポイント 989人 7.1人
種別不明 36校 10% 1ポイント 197人 5.5人
合計 295校 83% 1ポイント 17953人 60.9人

3.受験可否及び受験時の条件

受験可否

  • 受験可否を「受験可」と「可否未定」で比較すると、全障害種別で可否未定が受験可を上回る結果でした。可否未定の割合が最も高いのは知的障害63%(222校、前回比-1pt)で、次いで視覚障害58%(206校、+1pt)です。続いて、聴覚障害55%(196校、±0pt)・精神障害55%(195校、±0pt)・内部障害55%(197校、+1pt)が同率で並び、発達障害54%(191校、+1pt)、肢体障害53%(189校、-1pt)の順となりました。
  • 障害学生の受験をまず認めるという「受験可」の立場から出発するよりも、個別の状況を確認した上で、受験を認めるかどうか判断するという「可否未定」の姿勢が顕著になっています。
  • しかしこのように可否未定が多いと、どの大学を受験先として考えてよいのか判断しづらく、受験生にとって心理的な負担になりやすい状況といえます。

 以下、障害種別:受験可、受験未定ごとの回答数 率 前回比の順

障害種別受験可否
障害種別 受験可否
未定
回答数 前回比 回答数 前回比
視覚 149校 42% -1ポイント 206校 58% 1ポイント
聴覚 159校 45% 0ポイント 196校 55% 0ポイント
肢体 166校 47% -1ポイント 189校 53% -1ポイント
発達 164校 46% -1ポイント 191校 54% 1ポイント
精神 160校 45% 0ポイント 195校 55% 0ポイント
内部 158校 45% -1ポイント 197校 55% 1ポイント
知的 133校 37% 1ポイント 222校 63% -1ポイント

受験可否未定理由

  • 受験可否未定理由についてみると、どの障害種別でも「事前協議後に対応を検討する」が最も多く、例えば内部障害では189校(前回比プラス2ポイント)、発達障害では181校(プラス2ポイント)となっています。次いで、どの障害種別でも「大学としての統一見解がない」が多く、例えば発達障害では30校(前回比プラスマイナス0ポイント)、視覚障害では27校(プラスマイナス0ポイント)となっています。
  • このように、学生の障害の状況を確認したうえで受験の受け入れを判断する対応が広く取られている一方で、大学内で受験対応に関する考え方が十分に整理されていない状況も見られます。その結果、学生一人ひとりの障害の状況によって大学の受験の受け入れが左右されやすく、担当者によって判断や説明が異なったり、希望する学部・学科によって対応が分かれたりする状況が生じています。こうした違いは、受験生がどの大学・どの学部を選択するかという判断にも影響を及ぼしており、大学には、受験前の段階で判断の考え方や手順をできる限り明確にし、学内で共有することが求められます。

 以下、可否未定理由別:障害種別の回答数 率 前回比の順

障害種別受験可否未定理由
可否未定理由
(複数回答可)
視覚障害 聴覚障害 肢体障害
回答数 前回比 回答数 前回比 回答数 前回比
事前協議後検討 193校 54% -1ポイント 184校 52% 0ポイント 181校 51% 1ポイント
統一見解なし 27校 8% 0ポイント 26校 7% 0ポイント 22校 6% 0ポイント
キャンパス設備の問題 13校 4% -1ポイント 9校 3% 0ポイント 9校 3% 0ポイント
教職員側の態勢未整備 13校 4% -1ポイント 10校 3% 0ポイント 10校 3% 0ポイント
試験ノウハウがない 14校 4% 0ポイント 8校 2% 1ポイント 12校 3% 1ポイント
合格しても受け入れられない 4校 1% 0ポイント 2校 1% 0ポイント 1校 0% 0ポイント
その他 9校 3% 0ポイント 11校 3% 1ポイント 8校 2% 0ポイント
可否未定理由
(複数回答可)
発達障害 精神障害 内部障害 知的障害
回答数 前回比 回答数 前回比 回答数 前回比 回答数 前回比
事前協議後検討 181校 51% 2ポイント 188校 53% 1ポイント 189校 53% 2ポイント 210校 59% 0ポイント
統一見解なし 30校 8% 0ポイント 30校 8% -1ポイント 37校 10% -1ポイント 40校 11% -2ポイント
キャンパス設備の問題 4校 1% 0ポイント 2校 1% 0ポイント 5校 1% 0ポイント 5校 1% 0ポイント
教職員側の態勢未整備 7校 2% 0ポイント 7校 2% 0ポイント 11校 3% 0ポイント 11校 3% 0ポイント
試験ノウハウがない 9校 3% 0ポイント 12校 3% 0ポイント 17校 5% 1ポイント 17校 5% 0ポイント
合格しても受け入れられない 3校 1% 0ポイント 0校 0% 0ポイント 1校 0% 0ポイント 1校 0% 0ポイント
その他 8校 2% 0ポイント 5校 1% 0ポイント 5校 1% 0ポイント 7校 2% 0ポイント

どこがちがう? 事前協議と事前相談

  • 事前協議は、大学が障害学生の状況を見て、入試や入学後にどこまで配慮できるかを検討したうえで、受験可否を判断します。
  • 事前相談は、大学が受験を認めたうえで障害学生の様子を知るとともに、どのような配慮ができるかを検討するために行われます。

事前協議は障害学生の受験を認めるかどうかが決まっていない状況で行われますが、事前相談は受験を認めた上で実施されます。同じ話し合いの場ではありますが、受験が認められているのと、認められるかどうか分からないのでは、大きな違いです。

受験時の条件

  • 受験可否と受験時条件との関係を見ると、いずれの障害種別においても、「受験可」と回答した大学では「受験時条件なし」が最も多くなっています。
  • 前回調査までの受験時条件には、事前相談や障害者手帳の提出など、合理的配慮を受けるための手続きに関する選択肢が含まれていました。そのため、障害学生に合理的配慮を提供している大学が、これらを受験時条件として選択し、「受験可」とする大学では「受験時条件あり」が最も多くなっていました。
  • しかし、今回の調査では、こうした手続きに関する選択肢が受験時条件から除かれました。この結果、受験を可とする大学の多くが、受験時に特定の条件を課すことなく回答する形となり、「受験可」の大学では「受験時条件なし」が最も多くなったと考えられます。
  • そのうえで、視覚障害・聴覚障害・肢体障害では、「受験可」と回答した大学の中で、受験時条件ありが比較的多くなっています。これらの条件には、例えば、活字の問題に対応できることを求め、入学試験の形式自体は変更しないとするもの(合理的配慮に制限を設ける対応)や、受験時や入学後にガイドヘルパーや介助者の同伴を学生側に求めるもの(受験生側への一方的な負担転嫁)、入学後に事故が起きた場合でも大学は責任を負わないとするもの(責任不問条項)などが含まれます。
  • 「受験可」とされていても、このような条件を課す大学が一定数存在していることから、必ずしも障害学生が安心して受験できる状況にあるとは言えないことがわかります。
  • 一方、発達障害・内部障害・精神障害・知的障害では、受験可と回答した大学の中で、受験時条件が未定の大学が条件ありを大きく上回っています。これらの障害では、同じ障害であっても、個々の障害学生によって困難に感じる状況が異なり、それに応じて必要となる合理的配慮の内容も個別に違ってくるためです。
  • また、受験可否未定と回答した大学について受験時条件を見ると、いずれの障害種別においても「受験時条件未定」が最も多くなっています。これは、受験を認めるかどうかの判断自体を、障害学生からの問い合わせを経て行う「事前協議」を実施する大学の存在と重なっており、受験時にどのような条件を課すのかについても具体的に整理されていないことがうかがえます。こうした状況は、障害学生にとって、受験できるかどうかや、どのような条件が課されるのかが事前に見えにくいものとなっています。受験の可否や条件が個別のやり取りによって決まる仕組みは、受験先を考える段階で不安を抱えやすく、安心して進路を検討できる状況とは言えません。

 以下、障害種別 受験可、可否未定について:条件あり 条件なし 条件未定の順

障害種別受験時の条件有無
条件あり 条件なし 条件未定 合計
視覚障害 受験可 36校 76校 37校 149校
可否未定 14校 23校 169校 206校
合計 50校 99校 206校 355校
聴覚障害 受験可 30校 92校 37校 159校
可否未定 14校 21校 161校 196校
合計 44校 113校 198校 355校
肢体障害 受験可 36校 83校 47校 166校
可否未定 16校 19校 154校 189校
合計 52校 102校 201校 355校
発達障害 受験可 23校 97校 44校 164校
可否未定 12校 18校 161校 191校
合計 35校 115校 205校 355校
精神障害 受験可 23校 92校 45校 160校
可否未定 9校 20校 166校 195校
合計 32校 112校 211校 355校
内部障害 受験可 20校 88校 50校 158校
可否未定 8校 17校 172校 197校
合計 28校 105校 222校 355校
知的障害 受験可 17校 77校 39校 133校
可否未定 10校 21校 191校 222校
合計 27校 98校 230校 355校

障害種別 受験時の条件内容

  • 本調査では、これまで受験時条件として整理していた「事前相談」「障害者手帳の提出」「診断書の提出」について、受験時の合理的配慮手続きの選択肢に位置づけを移行し、受験時条件からは除外しています。そのため、本項で示す受験時条件の集計および分析には、これらの項目は含まれていません。また、受験時条件の内容には、障害のある学生が受験する際に何らかの条件を課すものや、合理的配慮の提供に一定の制限を課すものが含まれています。

視覚障害

  • 視覚障害の受験時条件では、「活字に対応可」(21校、6%、前回比0ポイント)、「試験(の形式)変更なし」(12校、3%、前回比1ポイント)が挙げられます。
  • 点字、拡大文字、パソコン入力、代筆など、受験方法や試験形式の変更を必要とする学生にとって、これらの条件が付されることは、受験機会そのものの制約につながるおそれがあります。場合によっては、結果的に受験の機会自体を失うことになりかねず、強い懸念があります。
  • また、「入試時自分で歩行」(11校、3%、前回比0ポイント)、「入学後は自力通学」(11校、3%、前回比0ポイント)といった移動に関する条件も見られます。移動に困難がある学生にとっては、受験当日の実施や入学後の生活に影響する可能性があるため、注意が必要です。
  • あわせて、「新設備設置・購入なし」(11校、3%、前回比0ポイント)が見られ、環境整備に制限を課す条件が含まれている点は課題です。

 以下、受験時の条件:回答数 率 前回比の順

視覚障害 受験時の条件
受験時の条件 回答数 前回比
活字に対応可 21校 6% 0ポイント
試験変更なし 12校 3% 1ポイント
入試時自分で歩行 11校 3% 0ポイント
入学後は自力通学 11校 3% 0ポイント
新設備設置・購入なし 11校 3% 0ポイント
誓約書の提出 9校 3% 1ポイント
通常活字に対応可 5校 1% 0ポイント
大学は事故責任なし 4校 1% 0ポイント
入学後の補助者 大学は関与なし 2校 1% 0ポイント
健康診断受診 1校 0% 0ポイント
入学後大学で配慮なし 1校 0% 0ポイント
解答不可能な問題の減点 0校 0% 0ポイント
その他 17校 5% -4ポイント

聴覚障害

  • 聴覚障害の受験時条件では、「試験(の形式)変更なし」(18校、5%、前回比1ポイント)、「新設備設置・購入なし」(14校、4%、前回比1ポイント)が挙げられます。
  • また、「入学後の補助者 大学は関与なし」(4校、1%、前回比0ポイント)、「入学後大学で配慮なし」(2校、1%、前回比0ポイント)も見られ、受験時に限らず、入学後の情報保障や支援に制限を課す内容が含まれています。
  • 情報保障が不可欠な障害特性を踏まえると、大学側がこうした条件を提示している状況は課題が大きく、改善が求められます。

 以下、受験時の条件:回答数 率 前回比の順

聴覚障害 受験時の条件
受験時の条件 回答数 前回比
試験変更なし 18校 5% 1ポイント
新設備設置・購入なし 14校 4% 1ポイント
誓約書の提出 7校 2% 1ポイント
大学は事故責任なし 5校 1% 0ポイント
入学後の補助者 大学は関与なし 4校 1% 0ポイント
入学後大学で配慮なし 2校 1% 0ポイント
健康診断受診 1校 0% 0ポイント
解答不可能な問題の減点 1校 0% 0ポイント
その他 17校 5% -4ポイント

肢体障害

  • 肢体障害の受験時条件では、「入試時自分で身辺処理」(25校、7%、前回比1ポイント)、「入学後は自分で身辺処理」(18校、5%、前回比1ポイント)が多く、受験時および入学後の生活行為を学生本人の責任に委ねる傾向が見られます。
  • また、「試験(の形式)変更なし」(19校、5%、前回比1ポイント)、「新設備設置・購入なし」(13校、4%、前回比0ポイント)も見られ、受験方法や環境整備に制限を課す条件が含まれています。
  • 通学や学内生活、授業におけるノートテイクなどで人的支援を必要とする学生にとって、こうした条件は受験や入学後の学修が困難になるだけでなく、就学を継続できない事態に陥るおそれがあります。

 以下、受験時の条件:回答数 率 前回比の順

肢体障害 受験時の条件
受験時の条件 回答数 前回比
入試時自分で身辺処理 25校 7% 1ポイント
試験変更なし 19校 5% 1ポイント
入学後は自分で身辺処理 18校 5% 1ポイント
新設備設置・購入なし 13校 4% 0ポイント
誓約書の提出 6校 2% 1ポイント
大学は事故責任なし 5校 1% 0ポイント
入学後の補助者 大学は関与なし 4校 1% -1ポイント
健康診断受診 1校 0% 0ポイント
入学後大学で配慮なし 1校 0% 0ポイント
解答不可能な問題の減点 0校 0% 0ポイント
その他 14校 4% -3ポイント

発達障害

  • 発達障害の受験時条件では、「試験(の形式)変更なし」(13校、4%、前回比2ポイント)、「新設備設置・購入なし」(13校、4%、前回比1ポイント)が見られます。
  • 読み書きの困難、試験環境の調整、人的支援を必要とする学生がいることを踏まえると、配慮の前提を狭める条件が含まれている点は課題です。
  • また、「入学後の補助者 大学は関与なし」(3校、1%、前回比0ポイント)、「通常活字に対応可」(2校、1%、前回比0ポイント)も見られ、受験時および入学後の配慮に制限を含む条件が存在しています。

 以下、受験時の条件:回答数 率 前回比の順

発達障害 受験時の条件
受験時の条件 回答数 前回比
試験変更なし 13校 4% 2ポイント
新設備設置・購入なし 13校 4% 1ポイント
誓約書の提出 5校 1% 1ポイント
大学は事故責任なし 4校 1% 0ポイント
入学後の補助者 大学は関与なし 3校 1% 0ポイント
通常活字に対応可 2校 1% 0ポイント
健康診断受診 1校 0% 0ポイント
入学後大学で配慮なし 1校 0% 0ポイント
解答不可能な問題の減点 0校 0% 0ポイント
その他 15校 4% -2ポイント

精神障害

  • 精神障害の受験時条件では、「新設備設置・購入なし」(12校、3%、前回比1ポイント)に加え、「大学は事故責任なし」(4校、1%、前回比0ポイント)、「入学後の補助者 大学は関与なし」(4校、1%、前回比0ポイント)が見られます。
  • 受験時の安全配慮や入学後の支援に制限を含む条件であり、学生が安心して受験し、その後の学生生活を送るという観点から課題があります。

 以下、受験時の条件:回答数 率 前回比の順

精神障害 受験時の条件
受験時の条件 回答数 前回比
新設備設置・購入なし 12校 3% 1ポイント
誓約書の提出 5校 1% 1ポイント
大学は事故責任なし 4校 1% 0ポイント
入学後の補助者 大学は関与なし 4校 1% 0ポイント
健康診断受診 1校 0% 0ポイント
入学後大学で配慮なし 0校 0% 0ポイント
その他 15校 4% -2ポイント

内部障害

  • 内部障害の受験時条件では、「新設備設置・購入なし」(11校、3%、前回比1ポイント)、「入学後の補助者 大学は関与なし」(4校、1%、前回比0ポイント)、「大学は事故責任なし」(3校、1%、前回比0ポイント)が見られます。
  • 体調管理や医療的配慮が必要な学生にとって、環境整備や支援に制限を課す条件が含まれている点は課題です。

 以下、受験時の条件:回答数 率 前回比の順

内部障害 受験時の条件
受験時の条件 回答数 前回比
新設備設置・購入なし 11校 3% 1ポイント
誓約書の提出 4校 1% 1ポイント
入学後の補助者 大学は関与なし 4校 1% 0ポイント
大学は事故責任なし 3校 1% 0ポイント
健康診断受診 1校 0% 0ポイント
入学後大学で配慮なし 1校 0% 0ポイント
その他 13校 4% -2ポイント

知的障害

  • 知的障害の受験時条件では、「新設備設置・購入なし」(10校、3%、前回比0ポイント)、「入学後の補助者 大学は関与なし」(3校、1%、前回比0ポイント)、「大学は事故責任なし」(3校、1%、前回比0ポイント)が挙げられます。
  • 障害のある学生は、受験時に必要な配慮を検討する段階から多くの時間と労力を要します。その時点で、入学後の配慮を認めないに等しい条件が付されることは、大きな課題です。

 以下、受験時の条件:回答数 率 前回比の順

知的障害 受験時の条件
受験時の条件 回答数 前回比
新設備設置・購入なし 10校 3% 0ポイント
誓約書の提出 5校 1% 1ポイント
大学は事故責任なし 3校 1% 0ポイント
入学後の補助者 大学は関与なし 3校 1% 0ポイント
健康診断受診 1校 0% 0ポイント
入学後大学で配慮なし 1校 0% 0ポイント
その他 13校 4% -1ポイント

  • どの障害についてもいえることですが、障害学生は受験時に必要な配慮について考えるだけでも、一般の学生に比べて時間と労力を要します。そのような状況下で、まだ入学が決まらない前の段階で、入学後についての配慮を認めないに等しい条件を付したり、大学側が学生に過度な確約を求めることは、行われるべきではありません。大学には、受験前の段階で配慮や設備の必要性について断定的な回答を求めるのではなく、受験時点で必要な配慮を適切に提供したうえで、入学決定後にあらためて話し合いの機会を設け、学生とともに具体的な支援のあり方を検討する姿勢が求められます。

  • 7月1日発行の情報誌では、受験時配慮の詳細についての分析を掲載する予定です。また10月・12月も調査分析を掲載予定です。引き続き2025年度も会員登録いただき、ご覧ください。