大学における障害学生受け入れの現状  ~2024調査授業障害別~

殿岡 翼  殿岡 栄子  木藤 宗

  • 今回は昨年実施した「大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2024」の結果から、授業について分析します。調査対象大学821校(大学811校、大学校10校)に対し、回答校数は381校で、回答率は46%でした。なお、日本大学は学部ごとに調査し、2学部が回答しました。前回調査より5校減少しています。
  • 本調査は大学の総意としての回答を求めており、途中まで回答を入力していても大学の総意(決裁)が取れず、最終的な回答に至らなかった大学もあります。このような大学や学生募集停止となった大学は、回答数には含まれていません。
  • ※回答率とは、ある項目の回答数を回答数382(日本大学2学部を含む)で割った数(率・%)です。
  • ※前回比とは、前回と今回の回答率の差(ポイント)を指します。

視覚障害

  • 視覚障害学生への支援では、「プリント」が135校(35%)、「教科書」が72校(19%)、「板書の読み上げ」が61校(16%)でした。いずれも前回比はプラス1ポイントからマイナス1ポイントの範囲にとどまり、全体として変化は限定的です。「授業に補助者」は63校(16%)で前回比プラス1ポイントでした。「点訳サービスを実施」は30校(8%)で前回比0ポイント、「音訳サービスを実施」は19校(5%)で前回比0ポイントでした。「その他」は63校(16%)で前回比プラス2ポイントでした。
  • 「プリント」や「教科書」など、授業で使う資料に関わる配慮が行われていることがわかります。
  • 一方で、「点訳サービスを実施」「音訳サービスを実施」は広がりが小さく、「授業に補助者」も含めて、必要な学生に確実に届くように、申請から提供までの手順を学内で統一し、支援が途切れない運用にすることが課題です。

 以下、配慮方法別:回答数 回答率 前回比の順

視覚障害学生への配慮別学校数
配慮方法 回答数 回答率 前回比
プリント 135校 35% +1ポイント
教科書 72校 19% 0ポイント
掲示板の内容伝達 69校 18% 0ポイント
授業に補助者 63校 16% +1ポイント
板書の読み上げ 61校 16% +1ポイント
点訳サービスを実施 30校 8% 0ポイント
照明器具の設置 25校 7% 0ポイント
構内案内図を配る 23校 6% 0ポイント
辞書 19校 5% +1ポイント
音訳サービスを実施 19校 5% 0ポイント
点字のできる教職員がいる 12校 3% 0ポイント
その他 63校 16% +2ポイント

 以下、視覚障害支援者別:点訳 資料拡大 音訳 授業補助の校数順

視覚障害学生への支援者別学校数
視覚障害支援者 点訳 資料拡大 音訳 授業補助
大学教職員 24校 104校 28校 40校
学内サークル 2校 1校 1校 2校
一般学生 7校 13校 22校 43校
外部団体 29校 2校 3校 0校
学外の個人 1校 1校 1校 1校
その他 7校 11校 10校 13校

 以下、視覚障害学生へのコーディネート団体別:点訳 資料拡大 音訳 授業補助の校数順

視覚障害学生へのコーディネート団体別学校数
視覚障害コーディネート団体 点訳 資料拡大 音訳 授業補助
大学 41校 103校 42校 71校
学内サークル 1校 0校 1校 1校
外部団体 2校 0校 0校 0校
障害学生本人 11校 15校 10校 9校
その他 3校 3校 3校 2校

聴覚障害

  • 聴覚障害学生への支援では、「授業にノートテイカー」が126校(33%)、「学内行事に通訳者」が99校(26%)、「授業にパソコン通訳者」が89校(23%)でした。これらは前回比がプラス1ポイントからマイナス1ポイントの範囲または0ポイントで、全体として変化は限定的です。「ビデオに字幕」は77校(20%)で前回比プラス1ポイント、「放送の内容伝達」は75校(20%)で前回比プラス3ポイントでした。「授業に手話通訳者」は38校(10%)で前回比プラス1ポイント、「手話のできる教職員がいる」は30校(8%)で前回比プラス1ポイントでした。「その他」は106校(28%)で前回比プラス5ポイントでした。
  • 「授業にノートテイカー」や「学内行事に通訳者」など、授業や学内活動での情報保障が行われていることがわかります。
  • 一方で、専門性の高い授業では「授業に手話通訳者」や「授業にパソコン通訳者」といった人的支援が不可欠であるにもかかわらず、十分に行き渡っているとは言いにくいため、支援者の養成・確保と、依頼・調整が滞らない仕組みを整えて確実に配置できるようにすることが課題です。

 以下、配慮別:回答数 回答率 前回比順

聴覚障害学生への配慮別学校数
配慮方法 回答数 回答率 前回比
授業にノートテイカー 126校 33% +1ポイント
学内行事に通訳者 99校 26% +1ポイント
授業にパソコン通訳者 89校 23% 0ポイント
ビデオに字幕 77校 20% +1ポイント
放送の内容伝達 75校 20% +3ポイント
授業に手話通訳者 38校 10% +1ポイント
手話のできる教職員がいる 30校 8% +1ポイント
その他 106校 28% +5ポイント

 以下、聴覚障害補助者別:手話通訳 パソコン通訳 ノートテイク順

聴覚障害学生への補助者、補助手段別学校数
聴覚障害補助者 手話通訳 パソコン通訳 ノートテイク
大学教職員 16校 24校 19校
学内サークル 5校 12校 14校
一般学生 6校 58校 93校
外部団体 53校 23校 17校
学外の個人 11校 7校 6校
その他 6校 11校 13校

 以下、聴覚障害学生へのコーディネート団体別:手話通訳 パソコン通訳 ノートテイク順

聴覚障害学生へのコーディネート団体、補助手段別学校数
聴覚障害コーディネート 手話通訳 パソコン通訳 ノートテイク
大学 64校 76校 107校
学内サークル 0校 3校 5校
外部団体 10校 3校 5校
障害学生本人 13校 9校 11校
その他 4校 7校 6校

肢体障害

  • 肢体障害学生への支援では、「机・イスの配慮」が177校(46%)で前回比0ポイントでした。「アクセス可能な教室に変更」は139校(36%)で前回比プラス1ポイント、「授業に補助者」は81校(21%)で前回比プラス2ポイントでした。「学内生活に介助者」は72校(19%)で前回比マイナス1ポイント、「授業にノートテイカー」は71校(19%)で前回比プラス1ポイント、「学外生活介助者の派遣」は2校(1%)で前回比プラス1ポイントでした。「その他」は59校(15%)で前回比プラス1ポイントでした。前回比がプラス1ポイントからマイナス1ポイントの範囲の項目については、全体として変化は限定的です。
  • 授業環境の調整として「机・イスの配慮」や「アクセス可能な教室に変更」など、状況に応じた配慮が必要になることは明確です。
  • 一方で、「授業に補助者」と「学内生活に介助者」は学生生活の基盤であり、ここが弱まると影響が大きいため、必要なときに確実に提供できるよう、人材確保と調整体制を整え、授業場面と日常場面の両方で支援が途切れない運用にすることが課題です。

 以下、配慮別:回答数 回答率 前回比順

肢体障害学生への配慮別学校数
配慮方法 回答数 回答率 前回比
机・イスの配慮 177校 46% 0ポイント
アクセス可能な教室に変更 139校 36% +1ポイント
授業に補助者 81校 21% +2ポイント
学内生活に介助者 72校 19% -1ポイント
授業にノートテイカー 71校 19% +1ポイント
学外生活介助者の派遣 2校 1% +1ポイント
その他 59校 15% +1ポイント

 以下、肢体障害補助者別:授業補助 介助順

肢体障害学生への補助者、
補助手段別学校数
肢体障害補助者 授業補助 介助
大学教職員 31校 41校
学内サークル 8校 4校
一般学生 77校 41校
外部団体 6校 22校
学外の個人 8校 14校
その他 14校 25校

 以下、コーディネート団体別:授業補助 介助順

肢体障害学生へのコーディネート団体、
補助手段別学校数
肢体障害コーディネート 授業補助 介助
大学 89校 68校
学内サークル 2校 1校
外部団体 4校 6校
障害学生本人 16校 33校
その他 7校 10校

発達障害

  • 発達障害学生への支援では、「授業中の入退室を認める」が189校(49%)で前回比プラス6ポイントでした。「履修・スケジュールの管理」は139校(36%)で前回比プラス3ポイント、「プリント」は77校(20%)で前回比プラス2ポイントでした。「自習・休憩スペースを用意」は84校(22%)で前回比プラス1ポイント、「学習技術の向上を図るための支援」は76校(20%)で前回比プラス1ポイント、「補助機器」は47校(12%)で前回比プラス1ポイントでした。「授業に補助者」は24校(6%)で前回比プラス1ポイント、「教科書等」は22校(6%)で前回比プラス1ポイントでした。「その他」は77校(20%)で前回比プラス2ポイントでした。前回比がプラス1ポイントからマイナス1ポイントの範囲の項目については、全体として変化は限定的です。
  • 「授業中の入退室を認める」など、授業参加を続けやすくする配慮が進んでいることがわかります。
  • 一方で、「履修・スケジュールの管理」「学習技術の向上を図るための支援」「授業に補助者」などは、必要な学生に確実につながる形での運用が重要になるため、相談から支援決定、提供までを学内で標準化し、継続して使える支援として定着させることが課題です。

 以下、配慮別:回答数 回答率 前回比順

発達障害学生への配慮別学校数
配慮方法 回答数 回答率 前回比
授業中の入退出を認める 189校 49% +6ポイント
履修・スケジュールの管理 139校 36% +3ポイント
自習・休憩スペースを用意 84校 22% +1ポイント
プリント 77校 20% +2ポイント
学習技術の向上を図るための支援 76校 20% +1ポイント
補助機器 47校 12% +1ポイント
授業に補助者 24校 6% +1ポイント
教科書等 22校 6% +1ポイント
その他 77校 20% +2ポイント

精神障害

  • 精神障害学生への支援では、「座席を配慮」が210校(54%)、「授業中の入退室を認める」が195校(51%)で、いずれも前回比プラス6ポイントでした。「自習・休憩スペースを用意」は72校(19%)で前回比プラス2ポイント、「別室またはオンラインでの受講」は71校(18%)で前回比プラス2ポイントでした。「履修やスケジュールの管理を行う」は96校(25%)で前回比プラス1ポイント、「学習技術の向上を図るための支援を行う」は38校(10%)で前回比プラス1ポイント、「補助機器」は35校(9%)で前回比プラス1ポイントでした。「授業に補助者をつける」は11校(3%)で前回比0ポイント、「その他」は54校(14%)で前回比プラス1ポイントでした。前回比がプラス1ポイントからマイナス1ポイントの範囲の項目については、全体として変化は限定的です。
  • 「座席を配慮」や「授業中の入退室を認める」など、授業参加のしやすさに直結する配慮が進んでいることは評価できます。
  • 一方で、学修の継続には「別室またはオンラインでの受講」「自習・休憩スペースを用意」「履修やスケジュールの管理を行う」といった選択肢が必要なときに確実に使えることが重要であり、加えて「授業に補助者をつける」など人的支援も含めて、学内の共有と手続き整備を進めることが課題です。

 以下、配慮別:回答数 回答率 前回比順

精神障害学生への配慮別学校数
配慮方法 回答数 回答率 前回比
座席を配慮 210校 54% +6ポイント
授業中の入退出を認める 195校 51% +6ポイント
履修やスケジュールの管理を行う 96校 25% +1ポイント
自習・休憩スペースを用意 72校 19% +2ポイント
別室またはオンラインでの受講 71校 18% +2ポイント
学習技術の向上を図るための支援を行う 38校 10% +1ポイント
補助機器 35校 9% +1ポイント
授業に補助者をつける 11校 3% 0ポイント
その他 54校 14% +1ポイント

内部障害

  • 内部障害学生への支援では、「座席を配慮」が195校(51%)、「授業中の入退室を認める」が193校(50%)で、いずれも前回比プラス4ポイントでした。「自習・休憩スペースを用意」は69校(18%)で前回比プラス2ポイントでした。「別室・オンラインでの受講」は62校(16%)で前回比プラス1ポイント、「履修・スケジュールの管理」は48校(12%)で前回比プラス1ポイント、「補助機器」は31校(8%)で前回比プラス1ポイントでした。「学習技術の向上を図るための支援」は20校(5%)で前回比0ポイント、「授業に補助者」は15校(4%)で前回比マイナス1ポイントでした。「その他」は32校(8%)で前回比プラス2ポイントでした。前回比がプラス1ポイントからマイナス1ポイントの範囲の項目については、全体として変化は限定的です。
  • 「座席を配慮」や「授業中の入退室を認める」など、体調や症状の変動に対応する配慮が進んでいることがわかります。
  • 一方で、「別室・オンラインでの受講」「履修・スケジュールの管理」「補助機器」や「授業に補助者」などは、必要性が生じた際に確実に実施できる運用が課題であり、申し出の受付から実施・共有までの流れを整えて、柔軟な調整が確実に機能する体制を固めることが重要です。

 以下、配慮別:回答数 回答率 前回比順

内部障害学生への配慮別学校数
配慮方法 回答数 回答率 前回比
座席を配慮 195校 51% +4ポイント
授業中の入退出を認める 193校 50% +4ポイント
自習・休憩スペースを用意 69校 18% +2ポイント
別室・オンラインでの受講 62校 16% +1ポイント
履修・スケジュールの管理 48校 12% +1ポイント
補助機器 31校 8% +1ポイント
学習技術の向上を図るための支援 20校 5% 0ポイント
授業に補助者 15校 4% -1ポイント
その他 32校 8% +2ポイント

知的障害

  • 今回初めて知的障害学生に対する授業での配慮について調査しました。「授業中の入退室を認める」が75校(19%)で最も多く、「履修やスケジュールの管理を行う」は54校(14%)、「自習・休憩スペースを用意」は36校(9%)、「プリント」は33校(9%)と続きます。「学習技術の向上を図るための支援」は25校(6%)、「補助機器」は21校(5%)、「教科書等」は15校(4%)、「授業に補助者」は12校(3%)、「その他」は14校(4%)でした。新規実施のため前回比はありません。
  • 授業参加の前提となる配慮として「授業中の入退室を認める」「履修やスケジュールの管理を行う」「自習・休憩スペースを用意」などが行われていることがわかります。
  • 一方で、理解に直結する支援である「学習技術の向上を図るための支援」「補助機器」「教科書等」「授業に補助者」は、必要に応じて組み合わせて提供できることが重要であり、教材の準備方法と支援提供の手順を学内で整理して、実際に使える支援として定着させることが課題です。
  • ※新規実施のため前回比はありません。

 以下、配慮別:回答数 回答率 前回比順

知的障害学生への配慮別学校数
配慮方法 回答数 回答率
授業中の入退出を認める 75校 19%
履修やスケジュールの管理を行う 54校 14%
自習・休憩スペースを用意 36校 9%
プリント 33校 9%
学習技術の向上を図るための支援 25校 6%
補助機器 21校 5%
教科書等 15校 4%
授業に補助者 12校 3%
その他 14校 4%