~川北 真詩さんインタビュー ~
話し手 川北 真詩(かわきた まこと) 発達障害 聞き手 殿岡 栄子
川北さんは発達障害を持つ18歳の大学1年生で、大阪に在住しています。今回は、マレーシアの大学に留学する直前にお話を伺いました。
中学3年生のとき、学校の団体プログラムでアメリカに3ヶ月間留学し、現地の高校に通いました。この経験が、彼の進路選択に大きな影響を与えました。アメリカの学校では、生徒が自由に発言し、個性を尊重される環境に強く惹かれたといいます。日本の学校では「空気を読む」ことが求められ、目立つことが避けられる傾向がある中、アメリカでは「自己主張ができないと生きづらい」と感じるほど、発言や行動の自由がありました。例えば、体育の授業で「本気を出すと浮いてしまう」ような日本の雰囲気とは異なり、アメリカでは自分の力を発揮することが歓迎されると感じたそうです。
高校生のときにマレーシアの大学ツアーに参加し、学費の安さや多文化環境に魅力を感じました。当初は日本の大学への進学も考えていましたが、個性を尊重されにくい日本の環境は自分の特性に合っていないと感じ、人と関わることが好きな自分には観光学が合っていると判断。自分の特性や興味を見つめなおした結果、マレーシアで観光学を学ぶことを決意しました。 観光学を選んだ理由には、クルーズ船やホテルなど多様なキャリアパスがあることも挙げられます。将来的には海外で観光関連の仕事に就くことが目標です。進学予定のマレーシアの大学では、障害学生へのサポート体制が整っており、専任のサポートスタッフが在籍していることも安心材料の一つです。日本人が少ない大学を選んだのも、自分らしく過ごせる環境を求めての選択でした。
大学進学の準備として、今年の春から夏にかけて川北さんはフィリピン・セブ島の語学学校にも通いました。ここでは英語の学習だけでなく、生活面での自己管理の難しさも実感。鍵の紛失や持ち物の管理、スケジュール調整など、日常生活の中での課題が浮き彫りになりました。 寮生活では日本人スタッフのサポートもありましたが、文化や生活習慣の違いに戸惑うことも多かったといいます。また、家族との連絡が疎かになり、親に心配をかけたことも反省点として挙げています。毎日決まった時間に連絡することが苦手で、気分が乗ったときに連絡したいという気持ちが強く、結果的に連絡が途絶えてしまうこともあったそうです。今後は「LINEのスタンプだけでも送るなど、無理のない範囲で連絡を取る工夫をしていきたい」と話していました。 治安面については、フィリピンでは夜間の一人歩きやローカルマーケットでの注意が必要だと感じたとのこと。今後の留学生活では、学業だけでなく生活全般の自己管理が大きな課題になると自覚しています。
川北さんは「海外には自由があり、日本にはない」と感じています。日本では「人に合わせる」ことが求められる一方で、海外では「変わっていてもいい」「個性が大事」とされる文化が自分には合っていると語ります。ただし、どの国に行っても日本人は一定数いるため、その人たちとの距離感の取り方や関係性の築き方には注意が必要だと考えています。それでも、同じように「日本の同調圧力に違和感を持っている」日本人もいるはずで、そうした人たちと出会えれば、より良い関係が築けるかもしれないとも話していました。 最後に、川北さんは「自分の目的ははっきりしている」と語ります。現地での友人づくりや寮生活にも前向きに取り組みたいと考えており、観光学を学び、将来は海外で就職することが目標です。